セキュリティインシデントとは?その概要と対策・対応方法を解説

近年、様々な組織でセキュリティインシデントが発生しており、デジタル化の進展とともに組織が直面するセキュリティインシデントの脅威は日々深刻化しています。この問題に対処するためには、まずその定義を理解し、実際に発生する可能性のある事例を把握することが重要です。この記事では、セキュリティインシデントの定義、種類、影響、および効果的な対策方法について詳しく解説します。

セキュリティインシデントとは?


セキュリティインシデントとは、情報システムの機密性、完全性、可用性に対する脅威を指します。具体的には、情報の漏えい、改ざん、サービスの妨害、不正アクセスなどがあります。これらのインシデントは、組織の情報資産を直接的に脅かすものであり、業務が滞ったり信用を失うリスクを伴います。

なぜセキュリティインシデント対策が重要かと言えば、それは情報化社会においてデータが組織の重要な資産となっているためです。たとえば、顧客情報や取引履歴が漏えいした場合、ビジネスの信頼性や持続可能性に大きな影響を及ぼすことになります。

セキュリティインシデントの種類

セキュリティインシデントはその発生原因や手法によって以下のように分類されます。

1. 外的要因によるセキュリティインシデント

外的要因によるセキュリティインシデントには、主に以下のようなものがあります。

  • マルウェア感染:ウイルス、ランサムウェア、トロイの木馬などの悪意あるソフトウェアによる被害
  • 不正アクセス:外部からの不正なシステム侵入
  • 標的型攻撃:特定の組織を狙った巧妙なサイバー攻撃
  • DoS/DDoS攻撃:サービス拒否攻撃によるシステム停止

2. 内的要因によるセキュリティインシデント

内的要因によるセキュリティインシデントには、主に以下のようなものがあります。

  • 人為的ミス(ヒューマンエラー):メールの誤送信、USBメモリの紛失、設定ミス
  • 内部不正:従業員による意図的な情報漏えいや破壊行為
  • アクセス権限の管理不備:不適切な権限設定による情報流出

3. 環境要因によるセキュリティインシデント

環境要因によるセキュリティインシデントには、主に以下のようなものがあります。

  • 自然災害:地震、火災、水害などによるシステム停止
  • 設備障害:ハードウェア故障、施設の停電などによる影響


セキュリティインシデントの影響

セキュリティインシデントの影響は計り知れません。以下に、具体的な影響について考察します。

1.業務の停止

セキュリティインシデントが発生すると、状況によってはシステムやネットワークの停止により業務停止を余儀なくされ、金銭的損失が発生する可能性があります。また、インシデントの原因調査や復旧といったセキュリティインシデント対応に係る費用も発生することになります。

2.評判(レピュテーション)の低下

セキュリティインシデントが公になることで、組織の評判が損なわれることがあります。顧客やパートナーの信頼を失うことは、長期的なビジネスにとって大きな打撃です。

3.売上の減少

セキュリティインシデントは、顧客の信頼を失った結果としての収益減少や営業機会の損失など、多くの財務的影響を引き起こします。

これらの影響を考慮すると、セキュリティインシデントの予防と対応は組織の最優先事項と言えます。

セキュリティインシデントを防ぐための対策

セキュリティインシデントを防ぐためには複数の対策を講じることが有効です。以下に、基本的な対策をいくつか紹介します。

1.最新のソフトウェアとパッチ管理

使用しているソフトウェアは常に最新の状態を維持し、攻撃者に脆弱性を悪用されないようにします。特にオペレーティングシステムやセキュリティソフトのアップデートは重要です。

2.セキュリティ研修の実施

従業員にセキュリティの重要性について理解を深めてもらうため、セキュリティ研修を実施することが重要です。たとえば、フィッシングメールの見分け方や安全なパスワード管理についての研修などが挙げられます。また、内部不正や組織内情報の取り扱いといった内的要因に関する研修も有効です。

3.強固な認証・アクセス管理

強力なパスワードや多要素認証(MFA)を導入することで、不正アクセスのリスクを大幅に低減できます。また、組織内のリソースに対して、各アカウントのアクセス権限を最小にすることも有効です。もし、攻撃者によって組織内のアカウントが侵害された場合でも、被害をそのアカウントの権限の範囲内に留めることができます。

4.インシデント対応計画の策定

セキュリティインシデントを完全に防ぐことは難しく、事前にセキュリティインシデントに対応できる体制を整えておく必要があります。たとえば、システムのログの管理・監視やシステムのバックアップ取得など事前に準備をしておくことで、セキュリティインシデントが発生してしまっても、迅速に調査・復旧を行うことができます。また、インシデント対応チーム(CSIRTなど)を組織し、シナリオ毎に具体的な対応策を策定しておくことが重要です。

これらの対策を組み合わせることで、セキュリティインシデントのリスクを効果的に低減することができます。

セキュリティインシデント発生後の対応

もしセキュリティインシデントが発生してしまった場合、被害を拡大させないため迅速かつ効果的な対応が求められます。以下に基本的な対応のステップを紹介します。

1.影響評価

発生したセキュリティインシデントの事実確認を行った後、どのようなセキュリティインシデントが発生したか、どのデータやシステムに影響を与えたのかを分析し、被害の程度や範囲を評価します。これにより、適切なレベル・順序で対応を進めることができます。

2.初動対応

発生したセキュリティインシデントに関連する端末やログなどのデータを保全します。また、影響評価にて決定した評価内容に基づき、端末のネットワーク遮断、Webサイト公開の一時停止などの被害拡大防止のための対応を実施します。

3.根本原因の調査

初動対応で保全したログや端末を基にセキュリティインシデントが発生した原因を調査します。原因が特定できたら、その原因を解消するための施策を講じます。

4.関係者への報告

調査結果を基に影響を受ける可能性のある関係者に速やかに報告を行います。顧客や株主への説明も求められる場合があります。

5.再発防止策の実施、報告書の作成

今後同じ問題が発生しないように、改善策を実施します。これには、システムの更新や組織内ルールの見直しが含まれます。また、セキュリティインシデントに関する詳細な報告書を作成し、関係者や経営層に共有します。

セキュリティインシデントが発生した場合でも、上記のような対応を迅速に進めることで被害を最小限に抑えることが可能です。

まとめ

この記事では、セキュリティインシデントの定義、種類、影響、対策・対応方法について解説しました。日本国内のセキュリティインシデントは年々増加傾向にあり、組織への大きな脅威となり得るため、十分な対策と対応が必要です。

この記事で紹介した対策を自組織に適用し、セキュリティ体制を見直してみてください。セキュリティ対策は高度化する脅威に対抗するための重要なステップです。適切な知識と準備で、自組織を守りましょう。

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FutureSecureWave編集部
FutureSecureWave編集部
IT・セキュリティ業界40年のフューチャーセキュアウェイブのセキュリティブログの編集部です。セキュリティ業界・関連の時事ネタから知っておくべきことを執筆してまいります。

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