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【ウェビナーレポート】Zabbixを活用した24/365監視アウトソーシングのポイントと技術的アプローチ

2025年5月13日、「SIerが24/365監視をアウトソースする際の注意点~運用負担とリソース不足を解消するため、環境に適したカスタマイズで実現する監視サービス~」というセミナーを開催しました。今回はその講演内容のポイントについてご紹介します。


坂本 慶

【登壇者:フューチャーセキュアウェイブ株式会社 坂本 慶】


システム監視の現状と課題

まず、現代のIT環境におけるシステム監視の重要性と、その運用における課題について解説します。システムの複雑化や人的リソース不足が、24時間365日監視を困難にしている背景を整理し、解決策の必要性を探ります。
 
現在のSIer(システムインテグレーター)はIT技術の発展や社会情勢の変化に伴い、様々な対応を求められています。市場のニーズとしては、クラウドシフトやDX推進、セキュリティ対策の強化、テレワークへの対応などが挙げられます。一方で、安定したシステムの稼働や既存システムのメンテナンス、監視・運用サービスの提供など、従来通りのサービスも継続して提供する必要があります。



SIerが直面する課題

【資料:P8 SIerが直面する課題】


SIerが直面する課題は多岐にわたります。IT環境の複雑化による監視対象の多様化と高度化、人材不足や属人化による監視体制の維持の難しさが深刻な問題となっています。特に人材の確保・育成における課題は深刻で、IT人材の獲得競争激化やIT技術の急速な変化、育成ノウハウの不足などが影響しています。
 
クラウド技術やセキュリティ技術への対応遅れも見逃せません。クラウドに関する知識・スキル不足やビジネスモデルの変革の遅れ、高度化するサイバー攻撃への対応などが課題となっています。
 
監視サービスの現状では、システム監視の必須化が進んでいます。大きなプロジェクトや案件の入札においても監視が含まれるようになり、24時間365日監視や通知の即時性、可視化の必要性が求められています。監視対象も複雑化し、オンプレミスだけではなくクラウド、IoT、OTなど、さまざまな対象への監視が必要になってきました。
 
専門性の高度化も避けられない課題です。対象の複雑化に伴い、監視設計や実装に対しての専門性も高度化しており、サーバー・ネットワークの知見、監視実装に関する知見・ノウハウ、クラウドサービスに関する知見など、幅広い専門性が求められています。
 
オブザーバビリティという新たな概念も登場しています。単純にシステムの稼働状態をチェックして知らせるだけではなく、システムが正常に安定して安全な状態で動いているかを評価するための監視として、システム運用には
有用な考え方として、注目されている考え方です。


監視サービスアウトソーシングのメリットと選定ポイント


監視アウトソーシングを検討すべき判断ポイントとして、3つの要素があります。第一に、必要な要員が不足している場合です。提供サービスのための要員が技術的側面と数量的側面から見て足りているかを確認する必要があります。第二に、費用対効果が実感できない場合です。要員や設備にかかるコストと総合的に見て稼げるサービスになっているかが重要です。第三に、独自性や付加価値がちゃんと付けられているかという点です。これらのうちどれかひとつでも課題がある場合、監視サービスのアウトソーシングが有効です。
 
実際にアウトソーシングする場合の委託先選定では、4つのポイントを押さえる必要があります。システム基盤に詳しいこと、監視システムについて詳しいこと、システム運用管理について詳しいこと、相談できる場をもっていることです。


どういったアウトソーシング先を選ぶべきか?

【資料:P11 どういったアウトソーシング先を選ぶべきか?】


サーバーやネットワークといったシステム基盤について設計・構築などが可能で、知見とノウハウをもっていることが必要です。監視を設計・実装するにはシステム基盤の知見は必須となります。また、「監視システム」自体に詳しくないと必要な監視を実装できません。サービスを提供する「監視システム」についての知見やノウハウがあり、恒常的に監視の実装と運用を行っているアウトソーシング先を選ぶべきです。


Zabbixを活用したカスタマイズ監視の技術的特徴


さらに、Zabbixを活用した監視サービスの技術的特徴とカスタマイズの可能性について詳しく解説します。オープンソースの監視ツール「Zabbix」とは何か、その強みを活かした柔軟な運用方法を紹介します。
 
Zabbix(ザビックス)は、OSS(オープンソースソフトウェア)の監視システムです。クラウド・オンプレミス問わず監視可能な統合監視システムで、高度で柔軟な監視を可能としています。


監視システム:Zabbix

【資料:P17 監視システム:Zabbix】


監視可能な対象は広範囲にわたります。サーバーOSなどの監視、ネットワーク機器の監視、ストレージ機器の監視、クラウドAPI連携監視、カスタムスクリプトなどによる監視が可能です。通知・他システム連携機能も充実しており、メール通知、Slack、Teamsへの通知、チケットシステム連携、リモートコマンド実行、クラウドAPI連携などが標準で利用できます。
 
専用VPN基盤やマルチテナント対応による監視サービス提供も特徴のひとつです。CGW(Center Gateway)とMGW(Management Gateway)という自社開発のアプライアンスを組み合わせることで、エンドユーザーごとの情報管理が可能なマルチテナント型のネットワークプラットフォームを実現しています。



CGW-MGWマルチテナントネットワークプラットフォーム

【資料:P18 CGW-MGWマルチテナントネットワークプラットフォーム】


MGW(マネジメントゲートウェイ)は、お客様先に設置する監視及びリモートオペレーションを可能にする自社開発のアプライアンスです。仮想アプライアンスと物理アプライアンスの両方で提供され、センター側にあるCGWとVPN接続し、Zabbix Proxyを搭載し、自社開発なのでカスタマイズが可能です。



入事例から見る監視アウトソーシングの効果

 
最後に、実際の導入事例を通じて、Zabbixを活用した24/365監視アウトソーシングの効果を紹介します。コスト削減やリソース最適化を実現した事例から、具体的な成果とその背景を紐解きます。
 
大手メーカー系SIerでのZabbix導入によるコスト削減効果の事例では、大手企業において、自社で持っていた監視プロダクトの競争力低下により、代替のソリューションとしてZabbixをサービス型で提供できるソリューションを探していました。


事例1:大手メーカー系システムインテグレーター

【資料:P32 事例1:大手メーカー系システムインテグレーター】


選定理由として、Zabbixでの監視がクラウドサービスで提供されていたことが挙げられます。これにより、自社でZabbixエンジニアを抱える必要がなく、監視システムの設計・構築が必要なくなりました。また、監視サービスがメニュー化・パッケージ化されていたことで、提案時の手間が大幅に削減できました。導入効果として、最低限必要な2-3名の監視・Zabbixのエンジニアの維持が不要になり、年間数千万円レベルでのコスト削減に成功しました。
 
地域SIerでのマルチテナント対応によるサービス拡張の事例では、特定地域を中心として活動するシステムインテグレーターにおいて、複数の監視サーバシステムの保守メンテナンスの負担軽減とマルチテナント型での提供方法を検討していました。
 
選定理由として、マルチテナント型のネットワークの仕組みが当社オリジナルのマルチテナント型の監視サービスの仕組みとマッチしたことが挙げられます。また、休日夜間に監視の代行が可能だったことも大きな選定理由でした。導入効果として、24時間365日対応が可能な案件を受注できるようになり、これまで対応できなかった案件を受注できたという成果を得ています。



まとめ:24/365監視アウトソーシングの今後の展望

 
まとめとして、24時間365日監視のアウトソーシングがもたらす今後の展望と、Zabbixを活用した技術的アプローチの可能性をまとめます。SIerが直面する課題を解決し、効率的な運用を実現するための道筋を提示します。
 
監視アウトソーシングによるDX推進とリソース最適化は、今後ますます重要になってきます。人材不足や技術の複雑化が進む中で、専門性の高い監視業務を外部委託することで、SIer企業は本来のコア業務に集中できるようになります。
 
Zabbixの柔軟性とカスタマイズ性がもたらす競争力も見逃せません。オープンソースソフトウェアでありながら、エンタープライズレベルでの利用が可能な高度で柔軟な監視サービスを提供できることが、差別化要因となります。業界標準の監視システムをクラウド型でサービス提供することで、専門のエンジニアがいなくてもサービス提供が可能になり、提案工数や営業工数の抑制も実現できます。
 
継続的な技術革新とサービス改善の重要性も強調されています。20年以上の監視サービスの実績とノウハウを有する事業者であれば、単純にサービスを提供するだけではなく、サービス運営の知見やノウハウを元にした支援を受けることが可能です。業界No.1システム採用という安定性と安心感、自社開発だからできる柔軟なカスタマイズ、サービス事業者だからできる実践的な支援という3つの選択理由により、SIer企業が直面する監視業務の課題解決と効率的な運用の実現が可能になります。



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FutureSecureWave編集部
FutureSecureWave編集部
IT・セキュリティ業界40年のフューチャーセキュアウェイブのセキュリティブログの編集部です。セキュリティ業界・関連の時事ネタから知っておくべきことを執筆してまいります。

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