Rundeck x Ansible:ツールを活用した運用自動化
システム運用の現場では、日々多くの定型作業が発生します。また障害対応でも発生状況や障害箇所の確認を行うための作業が必要です。これらの作業をオペレーターが手作業で行う場合、ミスを防ぐために作業工程の確認を行ったり、作業の属人化を防ぐために手順の共有を行うなど、さまざまな課題がつきものです。また、システムの規模拡大や複雑化に伴って作業内容が複雑化し、運用負荷も増大しているのが現状です。
こうした背景から、近年では「運用自動化」が大きな注目を集めています。運用自動化は、いままではオペレーターが手動で行っていた操作などを、コード(プログラム)やシステムに置き換え、実行と結果の評価を自動的に処理するようにするものです。自動化により、安全な実行、毎回同じ処理が容易に実行可能、実行時のログが自動的に取得できるなど、処理の効率化だけでなくオペレーターの負担も軽減できるものです。
中でも、RundeckとAnsibleを組み合わせた自動化は、運用現場の効率化・標準化・品質向上を実現する強力なソリューションです。
本記事では、従来の手作業による運用から脱却し、RundeckとAnsibleを活用した自動化運用へのステップアップ方法と、そのメリットについて分かりやすく解説します。
Rundeckとは?
Rundeckは、サーバー管理やアプリケーションデプロイ、定期的な運用タスクの自動化を支援するオープンソースの自動化プラットフォームです。ソフトウェアのカテゴリとしては「ジョブ管理システム」に分類されますが、GUIベースの操作性や柔軟なアクセス制御、スケジューリング機能を備え、複数の運用ツールやスクリプトを統合して一元的に管理できますので、自動化を進める上で非常に役立つツールです。
Ansibleとは?
Ansibleは、Red Hat社が開発しているオープンソースの構成管理ツールです。具体的な処理内容をYAML形式で記述した「Playbook」を使用して、サーバーやネットワーク機器の設定・アプリケーションの展開などを自動化できます。エージェントレスで導入が容易な点も特徴です。
Rundeck × Ansible:運用自動化のシナジー
なぜRundeckとAnsibleを組み合わせるのか?
Rundeckの特徴的な機能の一つに、Ansibleとのスムーズな連携があります。Ansibleは構成管理やアプリケーションデプロイメントに特化したツールであり、簡潔な記述により複雑なタスクも容易に実施できます。RundeckはAnsibleのPlaybookをジョブとして実行することが可能で、これにより自動化の幅が広がります。
実際にRundeckとAnsibleを組み合わせることで、リモートでの操作を簡素化できます。たとえば、Rundeckのジョブを使って、複数のサーバーに対して一括でAnsibleのPlaybookを実行できる実績があります。これにより、運用のスピードと効率が大幅に向上し、人的ミスを減少させることが可能になります。
WebUIによる可視化とセルフサービス
RundeckにはWebUIを作成する機能があります。AnsibleのPlaybookを含めたジョブを作成し、WebUIから実行できるようにすることで、専門のスキルを持っていないオペレーターでも安全に自動化タスクを実行できます。これにより、属人化の排除や運用効率の向上が期待できます。
アクセス制御と監査性
Rundeckのユーザー管理や細かな権限設定により、誰がどのタスクを実行できるかを厳密に管理できます。実行履歴も記録されるため、トラブルシュートや監査のための情報収集も容易です。従来の手動操作では毎回のログ記録が忘れがちですが、Rundeckによる実行なら自動的に記録されますので、その心配は不要です。
スケジューリングとワークフロー
定期実行や複数タスクの連携(ワークフロー)も登録できますので、夜間に処理を実行したり障害発生時の一次対応の自動化にも活用できます。
導入・運用のポイント
RundeckとAnsibleの連携方法
RundeckにはAnsible連携用の公式プラグインが用意されており、AnsibleのインベントリやPlaybookをそのまま利用できます。Rundeckのノード管理にAnsibleのインベントリを取り込み、ノード単位でタスクを実行可能です。
またAnsibleにも、さまざまな機器の操作や情報収集に対応したモジュールが提供されており、一般的な環境で使用するサーバー、ネットワーク機器、OS、ミドルウェア、クラウドに対応しています。さらに、Ansibleを使ったファイルのコピーや書換え、コマンド実行なども可能ですので、従来の手動操作を置き換えることが可能です。
運用現場での活用例
サーバーやアプリケーションのインストール、設定変更、証明書更新、情報取得など、繰り返し発生する運用タスクを自動化できます。また、権限を持たないユーザーも、Rundeck経由で決められた自動化タスクをセルフサービスで実行可能。変更内容はGit等で管理し、開発・運用の両チームでレビューを実施。承認後に本番環境へ反映することで、信頼性と透明性を確保できます。
効果とメリット
手順の標準化と自動化により、作業ミスや属人化リスクを大幅に低減できます。また、繰り返し作業や夜間・休日の対応も自動化でき、運用コストの削減に繋げられます。 サーバーへの手動による直接アクセスを減らし、最小権限での運用を実現できるので、オペレーションのトラブルを低減できます。
まとめ
RundeckとAnsibleの連携は、従来のオペレーターによる手作業運用から、信頼性・効率性・セキュリティを兼ね備えた自動化運用への大きな一歩です。GUIによる操作性、柔軟な権限管理、Playbook資産の活用など、現場の課題解決に直結する多くのメリットがあります。今後の運用現場では、RundeckとAnsibleの組み合わせが、より一層重要な役割を果たしていくでしょう。